20世紀終盤に創出されたインターネットによって加速されたデジタル革命が、21世紀に入り確実に人類共通のプラットフォームとなり、個人、産業、政治にとって必要不可欠なものとなって来ました。 21世紀の世界は、テクノロジー以外の世界で極めて大きな変化が、災害、気候変動、パンデミック、世界の分断、欧州における戦争に続き、中東における紛争に繋がって来ている中で、生成AIの急激な広がりが2023年に起こったことは、大きな時代の区切りを感じずにはいられません。
デジタルインフラストラクチャーは、海底・地上・アクセスを含む光ファイバー網、5G・WiFi・Bluetoothを含む無線網、エッジ・ハイパースケールを含むデータセンター群などに加えて、それらを機能させるための電力インフラ、Right Of Wayを提供する鉄道網などを含みます。 これらデジタルインフラは、インターネットのパケットがスムーズに各ユーザーに配信されるための、ルーター、スイッチなど伝送機器の技術、より高効率な処理をするためのサーバー及びプログラム管理など、運用者の技術を含むソフト、ハード面での発展と並行して、進化して来たと言えるでしょう。
この20数年間、私たちはインターネット及びクラウドを機能させるためのデジタルインフラを、技術面と経済面双方で機能させるために時間を費やして来たと言えるでしょう。 それを前提として、将来予測されている生成AIの急激な成長が実現するこれからの10数年間のデジタルインフラは、これまでのものと大きく異なるものになっていくと想定する方が自然であり、その中で、日本列島の中のデジタルインフラを、鉄道網、電力網などと重ね合わせたグランドデザインを行う重要なタイミングだと考えます。
九州を中核とする西日本地域は、アジアへのゲートウェイ、特にアジアのデジタル大国である韓国との極めて近い地理関係、充実したファイバー網と無線アクセス網、豊かな再生可能エネルギー、安定した農工業に加えて新たな半導体産業の誘致、文化的には日本における最も古い歴史とオープンな文化などが、大きな特徴と言えるでしょう。 九州13百万人、沖縄1.5百万人、更に中国地方を加えると、合計20百万人を超える人口を持ち、ヨーロッパで言えばオランダ(18百万人)、ベルギー(12百万人)、スウェーデン(10百万人)に匹敵する規模を支えるインフラストラクチャーが必要とされています。
九州・西日本は、人口、産業、観光、デジタルインフラにおいて、これまでも先進的な発展を遂げており、更に世界最高水準の半導体工場の設立により、グローバルな地政学的重要性を増していると言えます。 これらを踏まえ、九州・西日本から、日本、アジア、グローバルに、更なるデジタルインフラ成長のロールモデルを提示して行くことを目指して行きます。
2023年12月